指先で紡ぐ月影歌





すっと視線をずらせば、平助も"うわー…"と同情の眼差しを向けていた。

俺も同じような表情をしている自覚がある。


仲間の俺らだって、あの二人を同時に相手にはしたくない。

勝てねぇもんよ、いろんな意味で。



結局、この日天子様からの密命を受けた幕府の軍は長州の輩を京から追い出すことに成功した。

詰まる所、俺らの大仕事は無事に終わったのだ。


誰よりも早く出動してきた自信はある。

これで少しは存在を見直してくれるだろう。


そんな思いからか、組の中にも和やかな雰囲気が漂っていた。


まぁ、土方さんと芹沢さんは微妙な表情をしていたが。