指先で紡ぐ月影歌





此処にいれば、きっと平穏な生活が出来る。

大きな争いに巻き込まれることもなく幸せな未来が約束される。


そうわかっているのに。


男って生き物はやっぱり馬鹿で。


夢を見たいものなんだ。

追い掛け続けていたいものなんだよ。


浪漫って、そういうことだろう?



優しすぎるこの人たちの願いを叶えてやりたいと思った。

一緒に夢見ることを望んだんだ。


その先に一体何があるのか。それはわからなかったけど。

それでも乗り越えられると疑いもせず信じていた。


見えぬ未来さえ、明るいものだと信じていた。