「な、なに……」 してんだ! と言いかけたあたしを遮るように山上が言葉を続ける。 「お袋にも言われた。 お前は優しいけど、父親に似て、肝心なところで言葉足らずだって。 山之辺にも言われたな。 お前は肝心な言葉が抜けているってさ。 咲、好きだ。 お前は?」 真っ直ぐな眼差しで見つめられて、誤魔化すことなどできなかった。 「す、好きです」 声が若干上ずったのは、緊張の証だ。