アポロチョコ


きっとそれは、今が日常のひとコマだからかもしれない。

鎧を脱ぎ去った、あるがままのあたし。

霧子と並んで、スーパーをそぞろ歩く。


「咲、咲は少しだけ言葉に縛られすぎじゃないかな?」


霧子もきっとわかってる。


「言葉に?」

「確かに山上は言葉足らずで無神経なとこあるかもだけど、傍から見たら、咲のこと好きなんだなぁって思うよ」


こういう時のあたしが、一番素直なんだってこと。


「咲が不安になるのは、言葉による裏づけがないからでしょ。

でも、それだって本質を現してるとは言えないと思う。

人の心とか気持ちなんて、自ずと態度に表れるものだよ。

それを見落としちゃ駄目。


本質を見誤るよ」


スーパーでの買い物を終え、山之辺の家に向かう霧子と別れたあたしは、一人、唐揚げ弁当の入ったレジ袋を提げ家路に向かった。