琉哉、あの日のこと覚えていますか?

やっぱり好きな人がいて、それはあたしの親友の薙捺だった。
一番モテる薙捺だからしょうがないだろうと最初は思ってたけど、やっぱ悲しかったな。


志帆、あの日のこと覚えていますか?

いきなり手紙で告白のこと言ったりして、きっと驚いたよね。迷惑かけてごめん。でもあの時一番分かってくれるのは志帆だと思ったの。


昴、あの日のこと覚えていますか?

最初から昴の行動を手本にしてれば良かったって今更後悔してるよ。気付くの遅いとか思ったでしょ。昴は好きな人がまたできて幸せそうだね。あたしはずっと応援してるからね。


班のみんな、あの日のこと覚えていますか?

あたしが泣いてるところをみんな心配してくれたよね。ありがとう。っていうより、ごめん。たくさん迷惑かけたよね。
でもこれからもよろしく。


篤志、あの日のこと覚えていますか?

篤志はあたしの返事をずっと待っててくれたね。何があってもいつも冷静で凄いなって思った。これからあたしの気持ちがどう揺れるか分かんないけど、待っててね。





あたしが好きだった人はもう目の前に居ない。
助けを呼んでももう駆け寄ってくれない。
泣いていてももう励ましてくれない。
あたしとの思いではもう君の心には残らない。
ただ、あたしの心は傷が深く残ってる。
もう治療をしても治りそうにない。
完治するのには大人までの時間がかかりそう。

でも琉哉も昴も志帆も篤志も今、凄く幸せそうな顔をしてるよ。

あたしに出会わなくても、あたしが居なくても変わったことはなかったんじゃない?

あたしがみんなの視界から居なくなっても別に気にならないんじゃない?

みんなが凄く遠いよ。こんなんじゃ、いくら手を伸ばしても届かないよ。
もっと近くに来て? もっとそばにいて?

お願いだから遠くにいかないで。
離れていかないで。 お願い……