とある少女が1人、マウスピースの練習をしていた。

名前は桃杏(モモア)歳は14歳。


桃杏の家族は父親と母親。

父親は出張が多く、彼女と一緒に暮らすことは年に数えられる程度でしかない。

また、母親は桃杏が小さい頃に突然家から居なくなり、連絡もとれなくなった。

父親は浮気だとは言わないが、詳しくは言いたがらないので、桃杏は訊くことをやめた。


桃杏には母親が居たときの記憶はない。

そのため、唯一の形見というトランペットを吹けるようになりたいのだ。

たまにしか帰って来ない父親にそう伝えると、
「やはり、血は争えないな」
と苦笑いされ、
「まずは、マウスピースを使うんだ」
と教えて貰った。