二人は、クローバーの城に着いた。


リクが城の壁を沿って歩いたので、桃杏も続く。


あれほど恐れていたツタは、襲って来なかった。

稀に襲いかかるものも居たが、不思議とリクに近づくと、何事もなかったかの様に元の位置に戻るのだ。

これは、ツタは王家の者を覚えており、同様にリクのこともハートの国の王子だと認識したからである。


しかし、リクの身分を知らない桃杏は、何故襲われないのか不思議だったが、好都合だったので、このことを別段気にしていなかった。


「着いたぞ」


リクはとある窓の下にしゃがんだ。

桃杏もならって隣にしゃがむ。


「ここが、俺の知り合いの奴の部屋の窓。…つまり、入り口だ」


「…はい」


―…なんか、人間のリクだと敬語になっちゃう…。


桃杏はそう思った。