演劇部がないなんてっ!!

ー 「ほほう、演劇部を作るんですか・・・・・・それは、大胆ですね!」





椅子をクルクル回しながら話しを聞いている校長はのんきに答える。





「はい、別にいいですよね?あと4人で部員も集まりますから・・・・・・。ついでに、張り紙の許可も下さい。」





「ついで」という言葉に引っかかったが、校長は頷いた。





「分かりました。1年生が登校しょっぱなから部活を作ることは前代未聞ですが・・・・・・まあ、いいでしょう!」





「ありがようございます。」桜田は、俺を言うと出て行った。

小さくガッツポースをしながら。ー









ー 「席につけー!よし、今日も全員いるな!!いいことだ。昨日は、疲れたことだろう。疲れはとれたか?今日も、はりきっていくぞ!!」





昨日の朝とは明らかな温度差。昨日の帰りに何があったのだろうか。生徒達はただ、苦笑いするしかなかった。

昨日、度胸2人組みとして2組では話題になっている紫陽花と吉沢も今日は、満足げだ。

ますますほかの生徒達は首を傾げたい気分だった。





「あ、お前らに1つ宣伝したいことがある。今日から、念願の『演劇部』が設置されることになった!だがしかし、部員数が足りてなくてな・・・・・・演劇に興味がある奴はどんどん私に言ってくれ!!因に、紫陽花や吉沢は既に部員になってくれている。
張り紙もしてあるが気づかない奴もいるだろうからな、諸君らはほかのクラスにも宣伝しといてくれ!以上!!1時間目は国語だったな。諸君達、頑張ってくれたまえ!!」





そう言い、爽やかに教室を出て行った。

ああ、それでか・・・・・・紫陽花と吉沢以外のクラスのメンバーは心の中でため息をついた。




1時間目が終わり、一気に廊下が騒がしくなる。

さすが同い年ということもあってか、もう何人かの友達は皆出来たようだ。

キャーキャー騒がしい廊下の隅の方。そこの壁には掲示板があり、何枚か紙が貼られていた。

もちろん多数が部活の勧誘である。野球部・サッカー部・料理部・パソコン部など・・・・・・

様々な部活の紹介が貼られている中、1人の生徒がある部活動の紙を見ていた。

でかでかとした紙に部活の名前が書かれている。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・演劇部か。」ー









ー 早速初めての午前中の授業が終わり、まちに待ったお昼休みになった。購買に行く者、お弁当持参な者、友達になった人と有意義な時間を過ごしていた。

そんな中、1年1組の隣にある使われていない教室。そこはしーんとしてて隣の教室の騒がしい様がよく分かる。

そしてそこには4人の人影が。机を並べて2人は椅子に座り、1人はその横に立ち、もう1人は机を挟んで椅子に座っていた。

まさに受験の時の面接のような形になっていた。





「それで、名前は?何組なんスか・・・・・・?何で、ここに入ろうと思ったんスか?」


「言っとくけど、軽い気持ちでここにいちゃ駄目よ?私たちは真剣なんだから!!」





試験官のように椅子に座っている2人は真剣な眼差しで目の前に座っている男子生徒を見た。

そんな2人に見られている男子生徒はもう既に泣き出しそうだった。

「蛇に睨まれた蛙」とはまさにこの状況のことを言うのだろうと2人の横に立っている桜田は思った。


しかし、また女々しい男がやって来たもんだ。吉沢も女々しいが、それよりも女々しいかもしれない。

吉沢はまだ男気があるが、この男子生徒からは男というイメージがつかない。

確かに、見た感じかろうじて男だと分かる。黒髪は短髪でとてもサラサラしている。

何しろ、制服が男だ。これを男と見ないで何と見る。男装か?男装なのか・・・・・・?

吉沢に似ている所もあるが、動物に例えると犬ではなく、ウサギだ。どこかしら、吉沢とは違う可愛げがあると言っていい。





「ぼ、僕は、1年3組の・・・空木 守(うつぎ まもる)で、す。えっと、僕は、・・・・・・演劇が・・・・・好きで・・・・・だk「「「よし、合格!!!!!!」」」えええええ〜〜〜〜?!!!」






決心したかのように喋り出したかと思ったら、いきなり3人から「合格」という言葉か。とりあえず、「演劇が好きならいい」という考えらしい。

せっかく、覚悟を決めたのに無駄だったようである。

3人が大きな声を出したからか、一旦引っ込んだ涙がまた出てきそうである。





「ようこそ、空木!私は、顧問の桜田 美代だ!!」


「初めまして、紫陽花  美優です!!よろしくね、マモ君!」


「俺は、吉沢 小菊ッス!仲良くしてください!!」





3人一斉に自己紹介を始める。空木はオドオドしていたが、何とか自分を受け入れてもらえたことに安堵し、微笑んだ。

まさに、その笑顔は天使のよう。まるでお姫様のようだ。





「空木、早速だがお姫様役をやらないか?」


「そうね、マモ君なら似合うよ!!」


「え、な、何で僕が・・・・・・お姫様?!」





盛り上がり始めた女チームについていけず、何とか性別が一緒の吉沢に助けを求めようと吉沢を見つめる。

しかし吉沢は、空木を通り越して後ろを見つめていた。そこにあるのはドアだ。





「よ、吉沢くん?ど、どうしたん・・・ですか・・・?」





空木の言葉に女チームも吉沢の方を見る。吉沢はまだ、ドアの方を見つめている。





「・・・・・・・・・・・・・・いや、ほかにもお客様がいたなって思ったんス。」





「ほら。」と言いながらドアを指差す。3人は一斉にドアの方を見る。





「・・・・・・・・・・・・あ。やっと気づいた・・・・・・。」





そこにはいつの間にいたのか女生徒が立っていた。幽霊のごとく・・・・・・・・

黒髪はとても長く、後ろで1つに縛っている。いかにも、本が好きで大人しく少し暗い雰囲気を放つ彼女。

右手には図書室で借りてきたのか本が2冊ほどあった。





「どうぇえええええええい!!!い、いつの間にいたんだ!!」


「・・・・・・・・・・・え、自己紹介を始めたあたりから・・・・・・?」


「何で、疑問系なの?!声、掛けてくれれば良かったのに!!」


「あ、確か・・・・・・前島 鈴蘭(まえじま すずらん)さん!」


「え、知り合いっスか?」


「あ、ええっと・・・・・・・クラスメイトです!」


「「「クラスメイト・・・・・・」」」





3人は、前島と言われた女生徒の方を見る。





「えっと、鈴ちゃんは演劇部希望・・・・・・?」


「鈴ちゃん?・・・・・・はい、演劇部の張り紙を見てきました。なかなかおもしろそうだなと。あ。でも自分、舞台上に立つと怖がられるんで裏方希望・・・・・・です。」





なかなか癖のある部員が集まりそうだ。と桜田は1人、思った。ー