悠太には感謝だ。俺も頑張ったけど。あいつはきっかけを作ってくれたから。
「メールしない?」
そう言ってアドレスを書いた紙を渡すのが精一杯だった。
でも、緊張して言った俺とは裏腹に理沙の答えは思わず脱力するものだった。
「ごめんなさい…私、ケータイ持ってないんです」
マジですか…
「そうなんだ…ごめん」
「でもっ」
理沙が言った。
「文通なら…出来ます」
文通?って手紙か…。手紙…
もちろん答えは、
「いいよ。住所、教えて?あとこれ、俺の住所だから」
急いで、かつ、丁寧に、アドレスを書いた紙の裏に住所を書いて理沙に渡した。
理沙も筆箱から花柄のメモ帳を出して可愛い字で住所を書いていた。

