沙羅と彩華は、気を使ってくれて、どっかに行ってしまった。
「………麻耶はさ、あのときのこと、城木と一緒に出かけてると思ってるんだよな」
あのとき。
あたしが、利希くんと梨華ちゃんを目撃した日のこと…。
あたしは、コクンと頷いた。
「麻耶にとっては言い訳に聞こえるかもしれないけど、聞いてほしい」
「……うん」
あたしは小さく言った。
聞こえるか聞こえないかくらいの声。
「あのときは、城木に麻耶のプレゼントを買うの、手伝ってもらってた…」
え…?
プレゼント…?
「はい」
そう言って差し出されたのは、長細い箱。
「今日、誕生日だろ?」
あ…。
今日あたしの、誕生日だ…。