「麻耶」


振り返ると、沙羅がいた。


「どうしたの、沙羅?」


あたしはわざと、明るい声で問いかけた。


「無理しないで、麻耶」


「無理なんて、してないよ…」


「してる!!はたから見たら、もう見てられない!!」


「……っ!」


あたし、無理してないよ…?


ただ、毎日が辛い。
それだけ。


すると沙羅は、利希くんをあたしの前に押し出した。


「利希っ…く…!」


利希くんは、下を向いて唇を噛みしめている。


「麻耶…。利希くんの話も、聞いてあげて…?」


「………」