沙羅。


振り返らなくても、わかる。


利希くんが振り返って、嫌そうに沙羅を見つめた。


あたしは、振り返らなかった。


「……なに」


そう冷たい声で言った。


「私、謝りたくて…。決して許してなんて思ってないけど、でも謝りたかった…!」


多分、沙羅は泣いている。


グスッと、鼻をすする音が聞こえる。


「私が麻耶をいじめるように仕掛けたの…!本当にごめんなさい…!もうこんなことは絶対しない、誓える」


あたしは、何も言わずに黙ってた。


「……許してもらえるわけないよね。麻耶には嫌われたと思う。でも、もう絶対いじめなんてしないから。麻耶が楽しくしてるだけで、私はいいから…」


明るい口調になって、沙羅は言った。


「言いたいことはそれだけ。じゃあ…」


「待って!」