振り向くと、不安そうな顔をした沙羅がいた。
「なんで利希くんといるの…?応援してくれるって、言ってくれたのに…」
沙羅の不安そうな声からいきなり勢いのある声になって。
「利希くんから離れてよ」
と、あたしの腕に手を伸ばしてきた。
パシッと、音がした。
沙羅は目を見開いている。
その音は、利希くんが沙羅の手を叩いた音だった。
「触んな」
「え…?」
「どうせ麻耶をいじめようと仕向けたのもお前なんだろ?ふざけんな」
沙羅の顔がだんだん強ばっていく。
「もう麻耶に近寄んな」
沙羅の目から涙が溢れた。
「てめぇに泣く資格なんかねぇ」
利希くんはそう吐き捨てた。
沙羅は膝から崩れ落ちた。
あたしは、ただ沙羅を見つめていた。
