「麻耶になにしてんの?」
低い声で、そう言った。
涙で濡れた目を開けると、そこにいたのは…。
「り、利希…くん…!」
「なんだよ利希。俺は気に入った子を口説いてるだけじゃん」
「でも、麻耶が泣いてんだろ?麻耶が嫌がってるのを、放っておくことはできない」
ドキン…。
そんなカッコいいこと、言わないでよ…。
期待、しちゃうじゃん…!
「ちっ」
竜希くんは舌打ちをして、戻っていった。
あたしは力が一気に抜けて、ペタンと座りこんでしまった。
「大丈夫か?」
「うん…ありがと、利希くん。助けてくれて」
「当たり前じゃん。約束したんだから」
そうか…、そんなこともあったな。
あたしがいじめられてる時、助けてってお願いしたんだ。
