赤い月 終


(なんだ? コレ。)


まさか幻聴?
いよいよヤベぇじゃん、俺。

急がなきゃ…

六度、七度…


 ソンナニ…
 ソノ女ヲ愛シテイルノカ?


無視、無視。
構ってるヒマねーンだよ。

八度、九度…


 …
 愛シテイナイノカ…


「いやいや?!
超愛してマスケドネ?!」


うぁー…
とうとう幻聴に返事しちゃったよ。

クっクっ、という低い含み笑いが脳に響く。

うふふ、クっクっ、うふふ…

含み笑い祭りか、コラ。
フツーの状態でも発狂するわ!


「ちょ…
鏡じゃねぇンなら、後にしてくンない?
俺、忙しーンだケド?!」


感覚がなくなってきた拳をもう片方の手で包んだ景時は、辺りをキョロキョロ見回して声を上げた。