いやいや、ちょっと待って?

うさちゃんに担がれるよりゃ、心は穏やかデスケドネ?

そーじゃなくて…


「待って、待って!」


「うるせーよ。
落とすぞ。」


耳元で景時に叫ばれ、黒曜が顔を顰めた。


「あ、ごめん。
あの、ちょっと確認したいンだケド?」


「どうした?」


壊れた窓枠に足をかけていたうさぎも振り向いた。


「両親が、加護だったンだよね?」


「だろうな。」


「そうじゃ。」


「俺、加護外しちゃったンだよね?」


「だろうな。」


「そうじゃ。」


「じゃ…
次の新月に、オニになるンだよね?」


「だろうな。」




ハイ、ビンゴ。

『加護が消えた』
といううさぎの呟きは、聞こえていた。

酷かった額や腕の裂傷が、異常な速度で薄くなっていることにも気づいていた。

今夜は確か上弦。

後23日程で、俺は狂った赤いオニに‥‥‥