赤い月 終


(俺じゃない『赤光』…?)


探るように、訊ねるように、景時がうさぎに視線を送ると、彼女はまだ俯いていた。

ねぇ?
顔を上げて?
何を思ってるの?

誰を… 思ってるの?


「いや。」


凛とした声を発して面を上げたうさぎは、もう微笑んでいた。

いつものように、艶然と。


「必ず、他に道がある。」


「…もう、止められねぇか?」


「すまぬ、黒曜。」


うさぎから視線を逸らした黒曜が、振り返って月を仰いだ。

そしてもう一度彼女を見て、肩を竦める。


「しゃーねーな、付き合うよ。
どーすンだ?」


「早く帰って、秋時に事の次第を話さねば。」


慌ただしく二人の鬼神が動き出す。

放置プレーを食らったままの景時は、今度は黒曜の肩に担がれた。