赤い月 終


「いったい何が…」


茫然と呟いたうさぎの細い腕を、深雪がいきなり強い力で掴んだ。


「ねぇ!
バケモノって、人間の身体が欲しいンでショ?!
私の身体あげるから!
景時くんを助けてよぉぉぉ!!」


もう笑ってはいない。

深雪は泣き腫らした目で、うさぎを見上げた。


「ねぇ、お願い!
お願いします!!
景時くんを待ってる人がいるの!
景時くんをカノジョのトコロに返してあげなきゃ、私… 私…」


その『景時くんのカノジョ』が目の前の『バケモノ』であることを、深雪は気づかない。

それもそのはず。

深雪が自分の意識を保ったままうさぎに会ったのは、一度だけ。
ほんの一瞬だったのだ。

本人に本人のことを語っているとは全く知らず、深雪は掴んだ腕を揺すりながら必死で懇願した。


「私…
カノジョにも酷いコトを…
ねぇ、お願いだから!!
景時くんを助けて!!

え?」