赤い月 終


景時が上目遣いでうさぎを盗み見ると、彼女はいつもの落ち着いた物腰で秋時と向かい合っていた。


「秋時。
暫くの間、景時を妾に預けてはもらえぬか?」


「それは… どーゆー…」


「何処か人目につかぬ場所で、様々な事を教えようと思う。
力や鬼気の制御方法、それに変化…
そうすればまた、そなたらと此の地で暮らす事も可能であろう。」


「まじで?」


真っ先に反応したのは、薫だ。


「そんなんできンの?
うさぎサマみたいに?
帰って来れンの?」


微かに見えた希望に縋るように、矢継ぎ早に質問を飛ばす。


「案ずるな。
景時ならば、必ず出来る。
不可能を可能にする男じゃからな。」


身を乗り出す薫を宥めるように、うさぎは力強く頷いた。