そこには景時が立っていた。
歪に巨大化した体躯。
赤と黒が斑に混ざった肌。
服を裂き、異常に発達した筋肉。
鋭い鉤爪、鋭い牙。
そして…
額を盛り上げる角。
そこには、足元に黒い風を纏わりつかせた赤光が立っていた。
「誰にも迷惑をかけずに死ぬ事が、そなたの望みだと?
…笑わせる。」
目覚めたばかりで、まだぼんやりと突っ立ったままの赤光を乾いた瞳で見つめていたうさぎが、不意に首を傾げて苦笑した。
綺麗事なんて、もういらない。
闇に塗れ、過ちを繰り返し、それでも必死に輝こうとするのが、人なのだから。
醜く愚かで、美しく愛おしい、人なのだから。
うさぎは右手にバジュラを握ったまま両腕を広げ、赤光と対峙した。
「来い! 景時!!
そなたの真の望み、妾が叶えてやろう!!」
うさぎの叫びにピクリと反応した赤光が、ゆっくりそちらに顔を向ける。
その濁った瞳に映ったのは…



