赤い月 終


「言ったであろう?
もう、そなたの知る妾ではないと。
妾はうさぎじゃ。」


一瞬長い睫毛を伏せたうさぎが、微笑んだ。

儚く、消えそうに。

だが、この上なく美しく。


「人など儚い。
人など脆い。
愛しても憎んでも、一夜の夢。

そうと知りながら、妾はまた人を愛した。」


「っっ?!
何をする気だ、紅玉?!
コレを解け!!」


絶望的な予感に囚われた黒曜が、暴れ、叫ぶ。

その悲痛な叫びに紛れて…


「ガ… ガガ ガ…」


うさぎの背後に、巨大な影が姿を現す。


「許してくれ、黒曜。
本物の阿呆は妾じゃ。」


もう一度、黒曜に穏やかな微笑みを見せ、うさぎは振り返った。