黒曜は覚悟を決めた。
殺す気などさらさらない。
だが多少手荒な真似をしても。
多少傷つけてでも。
「悪いな、紅玉。
無理矢理にでも、眠ってもらおう!!」
黒曜はうさぎに向かって一気に跳んだ。
本気になった黒曜の動きは、うさぎの目でも捉えることは難しい。
彼の言葉通り、力の差は歴然。
だがうさぎは逃げることもなく、身を守ることもなく、バジュラを胸元に翳した。
艶やかな紅い唇が動く。
「縛鎖。」
「?!」
突然うさぎの手の中から放たれた閃光に驚いた黒曜は、動きを止めて目を腕で庇った。
その一瞬の隙を逃さず襲いかかるのは、光の鎖。
景時の縛鎖のように、金色ではない。
それは白銀。
景時の縛鎖のように、一本ではない。
バジュラの尖端から幾筋も伸びた鎖が、各々意思を持っているかのように、しなやかに動き出す。



