赤い月 終


蒼白になった月夜は、組み敷かれたまま必死で訴えました。


─おやめ下さい。
 お許し下さい。

 坊やはあの方の御子でござい
 ます。


─存じております、月夜姫。

 その御子の始末も、俺らの仕
 事の内なんですよ。


─え‥‥‥?


上に乗った男の嫌な笑い声も、もう聞こえない。

身体をまさぐる汚い指も、もう感じない。

何もわからない。
何もわからない。

振り上げられた刃。

落ちて転がる坊やの首。

頬にかかる生温かい血飛沫。

何もわからない。
わかりたくもない。

もう、なニ モ‥‥‥

月夜の瞳に、心に、映ったものは、愛しい男が愛しい坊やをその手にかける姿でした。


─?!
 この女?!


─な… 何が起こっ


闇夜に、狂った赤い月が昇りました。