赤い月 終


男以外に、月夜が鬼だなどと信じている者などいるはずもありません。

庵に押し寄せた兵たちも、それは同様で。

主の命で、主が一度は愛した美姫を、誰憚ることなく慰み者にすることができる…

そんな邪な思いに胸を踊らせ、兵士は月夜の腕を掴み、外に引きずり出しました。

地に押し倒され、兵士たちに群がられ、か細い悲鳴を上げる月夜。

その声は里に届くはずもなく。

助けに駆けつける者もなく。


─かあさま…?


異変に気づいたのは、庵で寝ていた坊やだけでした。


─餓鬼に用はねぇ。
 先に殺っちまえ。


一人の兵士が言いました。