夏が過ぎ。
秋が訪れ。
冬を越えて。
白い野の花が芽吹く頃。
ある月のない夜、鬼の庵に男の使いがやってきました。
やはりあの方は、坊や迎えに来てくれたのだ。
喜びに顔を輝かせ、月夜は扉を開けました。
けれどこそにいたのは、刀を帯びた多数の兵士。
使いなどではありませんでした。
─なんのご用でしょう?
あの方は…
あの方は…
─あの方に命じられ、貴女を殺
しに参りました。
戸惑う月夜に、下卑た笑みを浮かべた兵士が言いました。
なんということか。
─恨みを抱いた月夜と息子が鬼
となり、自分を殺しに来るに
違いない…
疑心暗鬼に陥った男は、配下の兵たちに『鬼退治』を命じたのでした。



