坊やを連れて里へ帰った月夜を、鬼は大喜びで迎えました。
愛しい娘に会いたい。
娘の生んだ坊やを抱きたい。
ひとっ飛びで願いは叶うが、鬼である自分が顔を出せば、迷惑かもしれない…
悶々とした思いを抱え、鬼はずっと我慢していたのでした。
けれど月夜の里帰りの理由を知り、鬼は激怒しました。
─おのれ、不実の輩め。
妾が懲らしめてくれよう。
だけど月夜は、困ったように微笑みました。
─良いのです、お優しい母上様
。
どうかお怒りにならないで。
私が赤光なのは、事実です。
恐れられ、嫌われても、仕方
のないこと。
愛した殿方に一度は愛され、
子まで授かった私は、誰より
も幸せ者でございます。
かくも清らかなその心。
かくも麗しきその心。
本当に、誰よりも幸せになってもいい娘なのに…
穏やかに微笑み続ける月夜に隠れて、鬼は一人、泣きました。



