赤い月 終


妻たちは、月夜に嫌がらせを始めました。

初めは小さな事から。

そして徐々に激化し、身に危険が及ぶような事まで。

けれど月夜は耐えました。

いつも通り、優しく微笑みながら。

その態度が気に入らなかった妻たちは、根も葉もない噂を流し始めました。

月夜は夜毎、子供を攫って食っている。

月夜は夜毎、美しい女の生き血を浴びている。

鬼の子だから。
鬼の子だから。

ある者は面白がって騒ぎ立て。

ある者は権力を握るために妻たちに加勢し。

ある者は保身のために見て見ぬふりをし。

誰も月夜を庇う者はいませんでした。

男の愛だけを頼りに都へ上った月夜には、他に後ろ楯などなかったのです。

けれど月夜は耐えました。

いつも通り、優しく微笑みながら。