赤い月 終


一人は期待に胸を膨らませながら、一人は動揺で瞳を揺らしながら。

もう一度、美しい鬼に問い掛ける。


「「今、なんて?」」


「景時に、術を、授ける。」


一語一語句切りながら言い切った後、うさぎはまた二人に微笑みかけた。


「え…」


「まじで??!!」


景時の小さな呟きは、薫の歓喜の声に掻き消された。


「ありがと、うさぎサマ!
ほんっと、ありがと!!」


薫はうさぎの手を取ってブンブン上下に振りながら、何度も礼を言った。

そして傷のある顔をクシャクシャにして笑い、景時の肩を痛いくらいバシバシ叩く。


「良かった、まじで良かった。
俺も、安心して眠れるわ。」


「イタい、イタい、薫ちゃ…
寝ンの? 監視は?」


「監視?」


痛みに顔を顰める景時を、薫は不思議そうに見た。


「帰ってきたンだから、もうイイだろ?」