本当に人形のようだった。
その瞳は、嵌めこまれたガラスのようだった。

あの時のうさぎを思い出すと、心臓が凍りつく。


「すまなかったな。
二人とも、怪我は」


「黙って。」


華奢な腰に回した腕をほどき、口を噤んだうさぎの小さな顔を両手で包み込むようにして、上を向かせる。

景時が覗きこんだ今のうさぎの瞳は、光と潤いを宿して輝いていた。


「うさぎの赤い目、綺麗。
好き。」


景時は蕩けきった顔で微笑んだ。

無性に嬉しくなって、そのままの勢いで唇を寄せる。

反射的に目を閉じたうさぎの瞼に口づけを落とすと、箍が外れた自分の熱に気がついた。


(ヤバ。
コレ、止まれねぇ…)