わたしはあの日以来、毎日桐谷君にお弁当を作ってる。

段々わたしも上達してきて、最近は焦がさないようになった。


「桐谷君、また明日ねっ」

「……ん」


話すようにわかったこと。
桐谷君、よく“ん”って言うんだ。
それが可愛くて、たまらなく胸を締め付けられる。


「じゃあ、ばいばいっ」


次の授業が移動教室だから、急いで戻る。

途中で振り返ると、桐谷君もポケットに手を突っ込んで、ダルそうに歩いていた。


「最近さー、仲良いんじゃない?」

「へ?」


授業中、ラッキーなことに同じ班だった莉奈とこしょこしょ話をする。


「だって、お弁当作ってるし、話しもするし。向こうも、嫌ってはないんじゃない?」

「そうかなぁー?」


わたしは、全然わかんないけど。