「もういいだろ。出てけって」
桐谷君が千尋さんを追い出す。
「ちょっと蓮?」
少したって、階段の音が聞こえる。
「桐谷君、千尋さん…」
再びわたしを抱き締める。
「せっかくまたこうやって一緒にいられんだから、少しは考えろよ。」
き、今日は桐谷がやけに甘くて、積極的だ。
「あの……でも、わたし今日はもう帰るね。」
「は?なんでだよ」
不満そうに唇を尖らせる桐谷君。
あーもう、かわいいなぁ。
「でも」
「でも?」
「お、お兄さんが見てるし」
ドアの隙間から、お兄さんのニヤニヤ顔が見える。
桐谷君からの視界じゃあ見えないんだ。

