「逃げ出したくなって…里沙ちゃんからも、桐谷君からも背を向けたの」
「うん」
怖くて里沙ちゃんの顔が見られない。
ギュッとスカートを握って俯く。
「でも、やっぱり里沙ちゃんには桐谷君を譲れない。」
バッと顔を上げて里沙ちゃんを見る。
「わたしだって、桐谷君が好きだから。たとえ里沙ちゃんの方が長く一緒にいても、わたしがこれから先ずっと一緒にいるから。」
い、言えた…。
わたしも、宣戦布告できたかな?
里沙ちゃんは目をパチクリさせた後、
「あ゛ーもう!」
とおっきい声を出した。
「梅ちゃんには負けるよ。本当」
「え?」
「あたし、梅ちゃんが蓮と話してなかったとき、バンバンアタックしてたのに、アイツはどこか上の空で」