幸い、放課後だったため、私たち以外の生徒の姿は教室になく、騒ぎが大きくなることはなかった。 柊くんも田中くんに続き教室を出ようとしていたところを、私の腕が引き留める。 「ちっ、なに?」 そんなに強い力ではないにしろ、制服の裾を引っ張られた柊くんは、苛立ちながらも私を無視することはなかった。 「美花は…」 私は口を開く。 「ぶじ…?」 不安を隠しきれずに、わずかに声が震える。