村岡が含みのある笑みを浮かべたのを
俺は見逃さなかった。
「杏花様はその後、胎動が全く感じられなくなった事を心配しておいでのようですが…」
「胎動がない?大丈夫なのか?お腹の子は?!」
俺は思わず、声を荒げてしまった。
そんな俺に優しく語りかけるように、
「はい、大丈夫でございますよ」
「ホントに?」
「胎児が下へ下がれば窮屈になり、自然と動けなくなりますから」
「………」
―――――動けなくなる。
本来なら安心していいはずの言葉も
今まであれだけ活発に動いていた子が
全く動かないとなれば、不安になる。
恐らく、杏花も同じ気持ちだろう。
けれど、それは順調に事が運んでいる証拠で。
何とも複雑な心境だ。
「あと、どれくらいで?」
俺は村岡をじっと見据えた。



