けれど、この状況でじっとしている方が
さらにおかしくなるっつーの!!
俺は村岡の手を振り払い、
財布を取りにリビングへ向かった。
硬貨でドアロックを解除しようと
財布を手にしてトイレへ戻ると、
「杏花ッ!!」
「……要」
村岡に支えられ、杏花が立っていた。
「大丈夫なのか?」
「あっ……うん。ごめんね?」
「フゥ~何ともないならいいんだが」
俺は大きなため息と共に苦笑した。
未だかつて聞いた事が無い。
トイレに入った妻が心配で、
乱入する夫がいる……などと。
けれど、それもこれも……
杏花が健康な妊婦だったら
こんな悩みなど抱く事もないだろうに。
今まで常に危険と恐怖が隣り合わせで
心から安心して寝る事さえ出来ないのだから。
杏花の肩を抱き寄せようとすると、



