ガチャガチャガチャガチャッ
鍵が掛かっている以上、
中の様子を窺い知る事は出来ない。
「杏花、開けたくないなら開けなくていい。無理やりこじ開けるまでだ」
「えっ?!」
俺は正気の沙汰ではないだろうな。
杏花がトイレにいるというだけで不安なのだから。
けれど、何かがあってからでは遅いし、
あれほど『ドアに鍵を掛けるな』と言っておいたのに。
俺は踵を返し、歩き出すと。
「どうかなさいましたか?」
エプロン姿の村岡が姿を現した。
俺の声を聞いて、駆けつけたのだろう。
「杏花がトイレに閉じ籠って出て来ない。鍵も掛かってるし、心配でならない」
「………そうですか」
「今からドアをブチ破る」
「はい?!ちょっと、それは…」
村岡は驚いた表情で俺を制止するが、
そんな事は百も承知。



