助手席のドアが開く気配が無い。
というよりも、杏花の姿が見当たらない。
んッ?!
俺はまさかと思い、慌てて車を降りた。
一心不乱に杏花のもとへ駆け寄ると、
杏花はドアの前で蹲るような形で
大きなお腹を抱えていた。
「杏花!?どうした?痛むのか?!」
「……ッ……んっ……」
苦痛の表情を浮かべながらも
俺に心配を掛けまいと、必死に笑顔を繕って。
「陣痛か?」
「………」
杏花から返事が無い。
余程、痛むのだろう。
男の俺では痛みがどれ程のモノなのか、
どうしたら痛みが和らぐのか、
本で得た知識だけでは、所詮、狼狽えるばかりで。
杏花がして欲しい事は何1つ分からない。
俺の手をギュッと握る彼女の手を握り返し、
何度も何度も腰の辺りを優しく擦った。
すると、



