心地良い木の香りと心安らぐ静寂の中、
俺と杏花は極上の一服を戴いた。
茶室を後にした俺らは、
ゆっくりとした足取りで駐車場へと。
「杏花、何を貰ったんだ?」
「ん?……これ?」
「あぁ」
「ウフフッ、冷水で点てられるお抹茶よ」
「冷水で?」
「えぇ。夏バテしないようにって」
「へぇ~」
家元夫人から戴いた抹茶を大事そうに抱えている。
「家元夫人って、私より若く見えたけど幾つくらいかしら?」
「さぁな」
「豊富な知識と細やかな心遣い……私も見習わないと」
「フッ、杏花は今のままで十分だよ」
「フフッ、そう?……ありがとうね、要」
俺と杏花は久々のデートを満喫した。
駐車場に到着した俺ら。
「杏花、そろそろいいぞ?」
「うん」
車内が冷えた頃を見計らって、乗り込むと。



