「浮気、……してるとは思ってないけど」
「は?」
「この香水の残り香、……家に持ち込まないで」
「………嫉妬してくれたんだ」
「わざと嫉妬させるためにしたんじゃないでしょ?」
「まさか」
「誰、この甘ったるい香りの持ち主」
普段なら気になっても問いただしたりしない。
彼のことを信用してるから、我慢出来るんだけど。
誕生日という特別な日だから
今日だけは、譲ってあげれない。
「これさ、モールの戦略担当の小川健司っていう奴の」
「………え?」
「安心していいよ、女じゃなくて男のだから」
「えぇっ?!男性でバニラ系使うの?」
「うん、いるにはいるだろ。若いと尚のこと」
「………」
やだぁ。
じゃあ、何?
私は男性に嫉妬してたってことよね?
「杏花」
名前を呼ばれたら、無意識に彼を仰ぎ見る癖が付いてる。
自然と絡まる彼の瞳は、嬉しそうなそんな表情を覗かせ
私の腰に回された手に力が入った。
「俺は杏花だけの『男』だから」
「っ……」



