『まだ起きてる?』という要からのメールを受信した。
『起きてるよ。仕事はまだかかりそう?』
逢いたいと打つのをぐっと堪えて、返信する。
すると、『あと15分くらいで着くから』と返信が来た。
要が帰って来る!!
こうしてはいられない。
何時間も歩いて、汗を沢山掻きっぱなしなのに。
すぐさまシャワーを浴びることにした。
超特急でシャワーを済ませ、髪を乾かしていると。
浴室へと続く脱衣所のドアが開いた。
「いた」
「ごめんねっ、シャワー浴びてたの」
「ん」
帰宅して、私の姿が無いから探したようで
スーツ姿のまま、ふわりと背後から抱き締められた。
「ッ?!」
あの匂いだ。
甘ったるくて私をイラっとさせるバニラの香り。
要の腕の中でくるりと向きを変え、
ジャケットの襟部分に指先を添えて、
何気ない顔してジャケットを脱がす。
そして、それを畳むでもなく、ハンガーに掛けるでもなく
床にバサッと落とした。
「……杏花?」
普段ならそんなこと絶対しない私だから
不思議に思ったんだろうけど
今日は私の誕生日なんだもん。
少しくらいは我が儘言ったって罰は当たらないでしょ。



