歩き疲れた私は夕食後に寝てしまったようで、
村岡さんが斗賀をお風呂に入れてくれたようだ。
ベビーベッドでぐっすり寝ている斗賀。
そんな息子の寝顔を眺めていてふと気づく。
時計を確認すると22時半過ぎ。
オープン初日だから仕方ないけれど、
朝5時過ぎに出勤した要が、未だに帰宅していない。
何時間労働するつもりなのだろうか?
もしかして、打ち上げ会のようなものをしているとか?
不意に過る、スーツの残り香。
あの甘ったるいバニラの香りの人も一緒にいるのかしら?
急に胸が抉られるように痛みを帯びる。
だって、私が横になっていたベッドの上に
村岡さんからのプレゼントが置かれているのだから。
今日は私の誕生日。
誕生日が嬉しい年ではないけれど、
『おめでとう』くらいは言って欲しい。
仕事が超多忙で、しかも今日はオープン初日。
だから、忘れていても仕方ない。
子供を産み、母になった私は、
妻としてではなく母として生活をしてしまっているのだから。
寂しさのあまり、はぁ~と溜息が漏れた、その時。



