行きつけの中華料理店で夕食を摂り、


自宅へと車を走らせていると、


隣りからの熱い視線に気づいた俺は、


赤信号で止まったタイミングで


ハンドルに乗せた手の上に額を預け、


彼女の視線に応えるように熱く見つめ返す。


すると、杏花から思いもしない言葉を投げかけられた。


「触ってもいい?」


「っ……、ん」


そのままじっとしていると、


彼女はゆっくりと指先で俺の肌の感触を楽しみ始めた。


キスをするでもなく、ハグをしたわけでもないのに。


ほんの少し触れられただけでも嬉しくなる。


彼女に求めて貰えたという事が。


自宅に到着すると、気持ちがすぐさま切り替わったようで


俺の存在を全消去したかのように


愛息子の元へと駆けて行ってしまった。


たった3時間というご褒美タイムは終わりを告げ、


俺は上階の寝室へと。


寝室のドアを閉め、ジャケットを脱ぎ、


それをベッドに放り投げた、次の瞬間。