要の帰宅でいつの間にか席を外した村岡さん。
いつでもそっと気を遣って下さる。
本当に素晴らしい人。
全身で要のぬくもりを感じていると、
「三味線、……………に……………たかっ……た」
「へ?今、何て言ったの?」
顔を埋めてるから声がくぐもって聞き取れなかったよ。
「三味線がどうしたの?」
上手かったとは違うよね?
『…かった』の前に『た』が聞こえたもの。
私は彼の腕から逃れるように身体を少し離すと、
「弾けると知ってたら、俺が1番に聴きたかったって言ったんだよッ!!」
「えっ?!……ちょっと、怒ってるの?」
要は眉間にしわを寄せていた。
「当たり前だろ?俺より先に爺さん達が聴いてるんだし。まぁ、100歩譲って祖父母はヨシとしよう。でも、和成に先を越されてたのだけは許せねぇ」
「えぇっ?!」
「シッ!!……斗賀が起きるだろ」
「ッ!!」
要の瞳に熱がこもるのが分かった。
どっ、どうしよう……。
これって、万事休すってヤツだよね?
狼狽し、視線が泳ぎ始めると



