「今日は初回ですから、あまり緊張せず、お料理の味を楽しみましょう」
「えっ?………あっ、はい!!」
そうだよね?
最初から試験みたいにビシビシと
チェックだらけだったら息が詰まっちゃうもの。
先生がナプキンに手を伸ばしたのを確認して、
私もそれを手に取った。
食事を食べ終え、ひと息つくと
「一条さんから伺ってます。杏花さんはお料理がとてもお上手なのだとか」
「いえ、とんでもないです」
「ご謙遜なさらないで……。ご自分のお店をお持ちだとか?」
「店と言っても、とても小さなカフェです。自分で料理をするのではなく、シェフやバリスタがいますので…」
「そうなんですか?」
「はい。あっ、でも、メニューは考えたりしてますけど」
「素敵ですね。杏花さんがされている事は、このプロトコール(国の間の公式儀礼)レッスンにも大いに役立ちますよ?」
「本当ですか?」
「はい。招待客をもてなすマナーは、杏花さんがなされている事の延長線上にありますから」
「…………なるほど」



