「『ここ最近、社長は凄くお疲れのようです。ご自宅で癒されていないのでは?社長は常に戦場で戦っておいでです。どうぞ、ご自宅にいる間だけでも癒して差し上げて下さいませ』……って」
「ッ?!!!………何だよ、それ」
「でもね、彼女の言葉にも一理ある。私、要の事は二の次にしてたから」
「だけど、それは仕方ないだろ。斗賀が生まれたんだから」
「………でも、でもね?それは、理由にはならないから」
「………」
杏花の言いたい事は解った。
常務秘書の小川の出過ぎた真似も腹立つが
杏花の気持ちも何となく察する。
けれど、こればかりは仕方がないだろ。
世の中、そんな家庭はごまんとある。
「秘書の言う事は気にしなくていい。杏花は杏花、俺は気にしない」
「けど……」
「俺は杏花も斗賀も健康で何不自由なく過ごせれば良いと思ってる」
「でも……」
杏花は小川に触発されて、
珍しく折れない所を見ると何か思う所があるようだ。
俺はそんな彼女に乗ってみる事にした。



