「俺が大学の時からなんだから、かれこれいい年数が経ってるだろ」
「………」
「男はいいさ、30を過ぎても差ほど言われたりはしないから。けど、女は違う。子供を産むなら早い方が良い。最近、そう思うようになった」
「………社長、本当に変わりましたね。奥様と出逢われて」
「あぁ。結婚なんて考えもしてなかったし、1人の女に振り回されるとは思いもしなかったしな」
「けれど、今の社長、良いお顔ですよ」
「フッ、そうかもな」
沢田は時にスーッと心に入り込んで来る。
それは、幼い頃からの俺を知っているからで。
けれど、決して嫌味ではなく
いつでも優しく背中を押してくれる、そんな存在。
沢田には長年交際している恋人がいる。
お互いに責任のある仕事をしている為、
逢う時間も育む時間も少ない筈なのに
けれど、決して弱音を吐かず、
お互いの信頼の上、今日まで支え合っている。
ひそかに俺が目標としている関係でもある。
俺は沢田から視線を外して、呟いた。



