社長と極上の生活




別に距離を取ろうとしていた訳ではなく、


ただ単にお互いの時間がすれ違っているだけ。


ここ1カ月ほど、仕事が立て込んでいるのは事実。


実際、今日もこうして地方に来ている訳だし


このプロジェクト以外にも並行して


幾つものプロジェクトを進行させているのだから。


溜息まじりの窓の外を眺めると、


「申し訳ございません。私が過密スケジュールにしているばかりに……」


「沢田の責任じゃないだろ。社長であるのだから仕方がない」


「………」


「それより、そっちはどうなんだ?」


「どうと言いますと?」


「その様子じゃ、まだ言ってないのか」


「………」


「そろそろ、身を固めたらどうだ?」


「………」


「俺に気兼ねなく、倖せを掴むチャンスを逃すな」


「………」


「おい、聞いてるのか?」


「あっ………はい」


ハンドルを握る沢田に視線を向けると、


歯切れの悪い言葉が帰って来た。