その後は、ファイルに記載のあった木材乾燥の視察と
スケジュール変更に伴う変更契約書を交わし、
夕食は梁瀬社長を始め、
地元の業者と共に酒を酌み交わした。
宴が終わったのが22時を少し回って。
俺はふと、脳裏に杏花の顔が浮かんだ。
「沢田ッ!!」
「はい!!」
「今から東京へは帰れないよな?」
「…………そうですね。今日はこちらでお休みに……」
「…………だよな」
「……………はい」
俺の表情をくみ取ってか、
「奥様には、母より事情を説明して貰っています」
「ん」
「急な事態だったので、奥様もご理解下さると思うのですが」
「………だな」
「お伝えするのが遅くなり、申し訳ございません」
「………気にするな」
沢田からの説明だと、
業務は常務秘書に任せてあるらしく、
杏花へは、言い訳をしなくていいらしい。
ホント、どこまで完璧なんだ……この男は。



