「いやーなんか下からグスグス聞こえるなと思ったんや...じゃなくてやな!?
なんでそんな所にお前がおんねん!?おかしいやろ!」
姉貴、どうやら俺はもう逃げられないみたいです。
土だらけの顔で俺はみっともなくも正直に告白する。
「…気になって気になっておいかけました」
煩悩には勝てませんでした。
あーさっきから伊賀さんが恐い。だけど今は両方恐い。
だって俺のせりふにカッと目を見開いて牛丼さんが凝視してくるんだもの。
どうか一発殴られるだけですみますように。
「…おい篠原」
俺は呼びかけられ、自分の顔に向かってくる手の平を避けることなく身構える。
ビンタならあまり痛くなさそうだ。
すると、牛丼さんは俺の頬に優しく手を添え予想とは全く違う言葉を発した。
「…ちょお来い。とりあえずその顔の泥を洗いに行かなあかん。話はそれからや」
伊賀さんが見守る中、牛丼さんは俺を連行しその場を後にした。


