だけど、と伊賀さんは続ける。
「やっぱり渡は親友ポジションでそれ以上にはならない」
その時、まだ春過ぎなのにザワリと冷たい風が吹く。
どうしよう…なんだか泣けてきた。
キス見れないけど泣けてきた。
俺は声を漏らさないため、ただいま地面とキスしてます。
伊賀さん達はキスしてないけど、地面と戯れ俺は土とキスしてます。
あー…水分のせいで顔に土がべっちょりだ。ベッチョリマンだ。
「……そうか。
やっぱり俺の片想いは何年かかっても実らんのやなぁ」
牛丼さん…
あーただでさえ椅子の隙間から見てるのに…土とぼやけた視界で全然表情が分からない。
だけどきっと彼は笑ってる。
悲しそうに笑ってる。
何故なら―――――――…
「俺はどうしても雪さんが好きなんや」
「…そうか」
彼の優しい息遣いが聞こえるから。


